51 │2024年12月29日

岡山バプテスト教会


週 句 女はエリヤに言った。「今わたしは分かりました。あなたはまことに神の人です。あなたの口にある主の言葉は真実です。」
聖書   列王記上 17章 24節

説 教 「メシアの誕生」 宇賀充
聖書   マタイによる福音書2章1~12節

 「クリスマスページェント」
 今朝の聖書は教会歴の箇所であり、クリスマスページェントとして取り上げられる有名な箇所です。しかし東から来た占星術の学者たちは誰でしょうか。伝統的には異教徒のマギといわれます。マジシャンの語源となりましたが、天体を観察して暦を作成する農耕に深くかかわる大事な仕事でした。信仰を得てから最近まで「学者たち」は異邦の異教徒でありイエス様を礼拝するためにベツレヘムに詣でたと思っていました。
 けれども福音書はイエス様のエルサレム入場から十字架と復活の救済の歴史を重点に描きます。そこから降誕の出来事を旧約聖書預言の成就と見ますなら「東の方から」とはオリエントのようです。学者たちの来訪より600年ほど以前に、イスラエルは東方の大国バビロニアに敗れ、国中の主だった人々は捕囚の民としてメソポタミア地方の首都バビロン近郊へ連行されて行きました。後にバビロニアは、ペルシャのキュロス王に破れます。キュロス王はその翌年、エルサレムへ帰還希望のユダヤ人たちにイスラエルへの帰郷を許可しました。しかし残った人たちもいました。60~70年に及ぶ捕囚生活の間に、その地の娘と結婚し子や孫を得、あるいは商売などにより安定した生活基盤を築いた者たちや、ペルシャの官吏に取り立てられた人々がおり、また度重なる戦火を逃れ、エジプトや地中海周辺の国々へ逃れ、そこに住み着くユダヤ人も多くいました。離散のユダヤ人です。その末裔がユダヤの信仰を絶やすことなくメシア救い主を待望し、占星術師として星に導かれユダヤの地に新しい王救い主として礼拝を捧げ、黄金乳香没薬を捧げたとしても不思議ではありません。
 そしてすぐに帰途につきました。「ヘロデのところへ帰るな」とはこの世と調子をあわせることなく、神様が共にいて下さる新しい道を通ってこの世に遣わされることなのです。(宇賀充)